2025.10.31(更新:2025.10.31)

低速モードへの切り替えは格安SIMの本領を引き出す|温度感別の最適な運用方法もご紹介

速度
記事の監修責任者
丸山 和輝

いらっしゃいませ、株式会社INEの丸山です。

「格安SIMを使っているが、月末にデータ容量が不足しがち…」

そんなお悩みを持つお客様は、格安SIMの“低速モード”をうまく活用できていない可能性が高いです。

低速モードとは、通信速度と引き換えに使用中のデータ通信量を抑える機能。うまく切り替えて使うことで、コストもデータも抑えられる優れものです。

とはいえ使い方がわからない方も多いと思いますので、この記事では、低速モードがどんなものか・そしてどのようにして使うべきかを解説します。

ご自身のスマホに低速モードの搭載がある方は特に、ぜひ最後までご覧ください。

低速モードが格安SIMを本領発揮させる

低速モードってどんな機能なの?

格安SIMがその本領を発揮するための機能です。自主的に低速にすることでデータ消費量を抑えることができます。

低速モードは、簡潔に言うと“意図的に通信速度を落とすことでデータ消費を無くす”機能です。多くの格安SIMでこの低速モードが提供されています。

そもそも格安SIMは、使用可能容量を大幅に抑えることで、大手よりも大幅にコストダウンができるサービス。

それなのに、「容量が足りなくなってしまい、追加でギガを購入した」となっては本末転倒です。

その点低速モードを使えば、その間はデータの消費を抑えられます。つまりデータ量を温存できるので、容量不足に陥ることも、ギガを追加で購入することも防げるわけです

可能な限りコストを抑えることで、格安SIMがその“安さ”という本領を十分に発揮するための機能が低速モードなのです。

そしてデータ容量の少ない格安SIMだからこそ、データ容量を消費しない低速モードを使いこなすことが重要になってきます。

通信制限と違って“データ容量の節約”を目的としている

通信制限とは何が違うの?

通信制限はギガを使い切ったことによるペナルティとしての“強制”速度低下。低速モードはギガの温存を狙った“自主的な”速度低下。ここが大きな違いです。

通信制限も低速モードも、「速度が遅くなる」という点は変わりません。

ただし、通信制限とは使用容量が超過した場合に“自動的に”速度が遅くなる機能いわばペナルティのようなものです

その反面低速モードとは、“自発的に”通信速度を抑制するもの。データ容量の節約を目的とした機能です。

データの使いすぎによる抑制ではなく、データの使いすぎを防ぐための機能が低速モードなのです。

低速モードに切り替えるとデータ容量を温存できる

低速モードの速度ではどんなことができるの?

ずばりデータ容量を温存できるので、無駄な追加コストをかけずに済みます。しかしその分使い方も限られる点には注意です。

低速モードを給水機で例えてみましょう。

全開の蛇口を少し閉じると放水量が減ります。放水量が減れば、その分タンクの水の減りが緩やかになりますよね。そうすると、タンクの交換・追加購入の頻度も減るはず

低速モードは、この「全開の蛇口を閉じる」のと同じことだと言えます。

低速モードに切り替えることで、データ量を節約。賢く運用すれば、データ容量の追加購入をせずに済み、最低限のコストで済ませられるのです

メリット:データ追加の無駄コストを削減できる

低速モードの間はデータ容量が減らないのが最大のメリットです。特にデータ容量が足りなくなりがちの人にとってはその恩恵を受けやすいでしょう。

低速モードは、データ量を節約できる機能。それによって生まれる最大のメリットは“データの追加購入による無駄なコストが削減できること”です。

月末のデータ不足を予防できる

「低速モードの速度でも問題ない用途の時はスイッチを入れる」等、用途に応じて低速モードに切り替えるようにすると、その分データ量が温存できます

そうすると、月末になってもデータ量が残っているはず。月末にデータを追加購入することなく、“無駄なコスト”をかけずに済みます。

“知らぬ間の無駄遣い”を回避できる

突如として始まるOSのアップデートやアプリの自動更新、SNSでの動画の送受信は、意外とデータを食うものです。

特に、OSやアプリのアップデートは意図していないタイミングで始まることが多く、急な大容量通信によってデータ量に大きなダメージを受けてしまいます。

そんな時は低速モードに切り替えれば、急に大容量通信が始まっても、データ量の消費を最小限に抑えられます。または、常に低速モードを使用していれば、データ消費を回避することもできるのです。

デメリット:速度低下により用途が限られる

「容量が減らない」とはいえ、“低速”になるので、使いたいサービスが快適に使えない可能性があります。問題なく使える用途が少ないのは大きなデメリットです。

「データ消費を抑えられる」という大きなメリットを持つ低速モードですが、それと引き換えに“速度が落ちる”仕様になっています。

つまり、シンプルに通信が低速であることで快適性が損なわれてしまうというデメリットも併せ持っているのです。

地図アプリが使い物にならない

低速通信のせいで困ってしまうのは、地図アプリが思うように使えないということ。速度が遅いがためにGPSの精度が落ち、現在地や周辺情報がすぐ読み込まれなくなってしまいます

現在地も周辺情報もあいまいであれば、ルート検索はスムーズにはできません。特に旅行先など、見知らぬ街では、低速モードではストレスを生むかもしれません。

動画・ゲームは基本的に楽しみ切れない

対戦型ゲームやリズムゲームは、正確なタイミングでの画面タップが勝敗を分けます。そのために必要なのが速くて安定した通信速度です。

一般的に、こういったスマホゲームで必要な速度は、低速モード時の速度を大きく上回っています。要は、低速モードの速度は、こういったゲームをするには遅すぎるということ。

通信が遅いと正しいタイミングで画面タップができず、知らぬ間にゲームオーバーになっていることもあるでしょう。

そもそも、アプリを開いてからの画面読み込みに時間がかかり、ログインすらできないこともあり得ます。

YouTube等の動画も同様に、読み込みに時間がかかりなかなか動画が始まらないことも。開始後も、画質が粗かったり途中で止まったりして、快適には見られない可能性が高いでしょう。

低速モードではこういったゲームや動画は基本的に楽しめないと考えてください。

SNSのメディアが表示されない

低速モードの場合、SNSのほとんどの画像や動画はすぐには表示されません。これら画像や動画の読み込みには、およそ10Mbpsほどの速度が必要となります。

キャリアによって低速モード適用時の速度は異なるものの、低速モードの速度はこの10Mbpsには遠く及びません。

画像や動画の表示・再生が遅いということは、インスタグラムやTikTokなどメディアが主なSNSを使うのには致命的です。これらのSNSは快適には使えないと考えておいてください。

また、メディア表示だけでなくLINE等のアプリを使った音声通話も途切れがちになってしまいます。

これらはアプリを使った通話になるので、通常の電話とは違いインターネットの通信品質で通話のしやすさが変わるからです。

基本的に、低速モードでは、画像や音声機能、つまりテキスト以外のやりとりはしにくくなると考えておきましょう。

テザリングは諦めざるを得ない

特に出先などで、PCやタブレット等でテザリングをする方もいらっしゃると思います。

ただ、このテザリングはデータ量をかなり多く消費するもの。特に格安SIMの場合、たった数時間テザリングをしただけで、通信制限に陥ってしまうことも往々にしてあります。

その点、この低速モードであればデータ消費が抑えられるため、通信制限に陥る心配はありませんが…

はっきり言って、速度が遅すぎて、使い物にならないと考えたほうがいいです。テザリングそのものはできますが、繋がれたPCやタブレットはほぼ使えないと思います。

速度が遅くなるが故に、スマホをWi-Fiルーターとして使うことは無理だと捉えてください。

不便さがある一方で、データ量が少ない通信は問題なく使えるという一面も。例えばLINEやInstagramのDMのように、単純なテキストの送受信は普通に行えます。

“低速モードへの切り替え”を使いこなすには

低速モードを使うなら、どうやって使うようにするといいのかな?

人によって「いつ低速モードに切り替えるべきか」が変わってきます。ストレスのかからないよう、ご自身の希望に合わせて使い方を検討するのがもっとも良いです。

メリットもあればデメリットもある低速モード。使いこなせれば非常に助かる反面、使い方を間違えれば逆にストレスになってしまいます。

というわけでここからは、低速モードの賢い使い方をご紹介していきます。

初級者向け・中級者向け・上級者向けの3パターンに分けて提示するので、ご自身に合う使い方を選んで実践してみてください。

初心者向け:月末のデータ不足を解消

速度の速い用途が多い方は、基本的に低速モードを使わないほうがストレスはかかりません。ギガ残量が一定のラインを超えたタイミングで初めて低速モードへ切り替えると良いでしょう。

まずは毎月、月末にデータ不足に陥ってしまい、“やむを得ず追加購入”を繰り返している方向けの使い方です。

こういった方は、低速モードを「困った時のお守り」のように使うと良いでしょう。

具体的には、普段は低速モードは使わないでOK月末に残りのデータ量が一定数を切ったタイミングで、SNS利用時や音楽のストリーミング再生時は低速モードに切り替えて使うようにしてください。

データ量が少ない時だからこそ、少し遅めの速度で事足りるときは低速モードに切り替えて、高速通信が必要なタイミングでのみ通常モードを使う。

このような使い分けをすると、月末にデータ追加購入をすることも、ストレスを感じることもないはずです。

初級者向け:低速モードの使い方

  • 対象者:普段は高速通信で快適に使いたいが、月末の速度制限だけは避けたい人
  • 切り替えタイミング:月末にデータ残量が20%を切ったら低速モードに切り替える
  • 運用法:月末の数日間だけ、SNSや音楽再生などを低速モードで行い、高速データ消費を抑える
  • 期待効果:速度制限を確実に回避でき、精神的な安心感が得られる

中級者向け:切り替えタイミングを掴んで無駄遣い防止

用途ごとに細めに切り替えるようにすると、不要なデータの使用が減らせるので、月末のデータ不足を防げます。基本のデータ容量を一段階落とせる可能性もあるでしょう。

一部、LINE等のテキストメッセージの場合は低速モードの速度でも問題ない…のであれば、常日頃から用途ごと細かくモードを切り替えて使うのも手。

大幅にギガ数を節約したいわけではないものの、賢く低速モードを使いこなしたい人に向いている使い方です。

「細かくモードを切り替える」という手間は発生しますが、その分使用データ量をこれまでより大きく減らすことができます

そうすると、「月末のデータ追加購入」が防げるだけでなく、「データ量の上限を1つ下のプランへ変更する」、つまり月々の通信費をさらに安くできる可能性も高まるでしょう。

さらに、データが余れば次月への繰り越しも見込めます。データ量に余裕をもった状態で毎月を過ごせそうです。

中級者向け:低速モードの使い方

  • 対象者:毎月のスマホ代をもう少し抑えたい人/計画的にデータを使いたい人
  • 切り替えタイミング:日常的に、用途ごとにその都度切り替える
  • 運用法:「通勤中の音楽」「SNSチェック」は低速・「動画やWebサイト閲覧」は高速、など用途に応じてこまめに切り替える
  • 期待効果:データ不足の回避はもちろん1つ下のプランへの変更も視野に入る。データの繰り越しも見込める

上級者向け:月間1~3GB完走する極限節約術

Wi-Fi環境で過ごすことが多いのであれば、“切り替え”ではなく常に低速モードにしておくのも手。どうしても必要な時だけ高速モードにする使い方だと、データ不足の回避はもちろん使用可能ギガ数を極限まで減らせます。

データの追加購入も当然なし。そしてデータの上限も抑えて、通信費を極限まで節約したい人は、低速モードを“ときどき切り替えて使う”のではなく、“常に低速モードに設定しておく”という使い方がおすすめです。

常時低速モードにしていれば、基本的にデータを消費することがありません。

動画視聴や経路案内など高速通信が必須の場面でのみ高速モードに切り替える使い方をすると、データ消費を最小限で済ませることができます。

そうなると、契約プランも、最小容量のものに変更できるかもしれません。月々の通信費を大きく削減することにつながります。

ただし、再三になりますが、低速なので用途によっては使い勝手は多少悪くなります。ご自宅にWi-Fiがなかったり、外出時も動画やゲームを頻繁にする方だと、不便を感じやすい使い方ではあります。

上級者向け:低速モードの使い方

  • 対象者:徹底的に通信費を節約したい人/Wi-Fi環境がメインの人
  • 切り替えタイミング:基本的に常に低速モードにしておく。切り替えをあまりしない
  • 運用法:原則として常に低速モードで運用。動画視聴や地図アプリなど、高速通信が必須の場面でのみ高速モードに切り替える
  • 期待効果:データ不足に陥らないのはもちろん、最小容量のプランへの変更も見込める。通信費を極限まで抑えられる。

低速モードへの任意切り替えができる格安SIM一覧

ただし、低速モードの機能は各社で異なります。すべての格安SIMに低速モードがあるわけでもありません。その有無も含めて、各社の低速モードのスペックや適切な使い方をご説明します。

低速モードはすべての格安SIMにあるわけではありません。さらにその機能も各社で異なります。

代表的な格安SIM別に、低速モードの有無も含めた詳細をお伝えします。

今後、格安SIMを賢く使っていきたい方は、低速モードのあるキャリアに乗り換えてしまうのも手。ぜひ参考にしてください。

キャリア低速モード
有無
低速モード時の
通信速度
低速モード時の
データ消費量
備考
mineoあり最大1.5Mbpsなしオプション加入で最大1.5Mbps。
なしの場合200kbps
IIJmioあり300kbpsなし3日間で366MBの上限あり
UQモバイルあり
※プランによる
最大1Mbpsなし現在申し込み可能なプランには
低速モードは無し
ワイモバイルなし
楽天モバイルなし
ahamoなし
LINEMOなし
povoなし
NUROモバイルあり
※プランによる
最大1MbpsなしNEOプランのみで使用可能
イオンモバイルあり200kbpsなし3日間で366MBの上限あり

まとめ

低速モードへの切り替え機能は“どこまで節約するか”を基準に使いこなそう

今回は、低速モード機能とはどんなものか、そして切り替えることでどんなメリットやデメリットがあるのかを解説してきました。

低速モードとは、格安SIMの「低容量・低コスト」というその本領を発揮させる機能。低速モードに切り替えることでデータの温存ができ、無駄なコストを支払わずに済みます。

とはいえその名の通り低速モードは、通常時に比べて速度がかなり落ちるため、使用用途が限られるというデメリットも。低速モードは上手に“使いこなす”ことが重要です。

速度の遅さに耐えられない方は、データ残量が少なくなってきたタイミングで切り替える。
うまくデータを温存したい方は、用途ごとに低速モードと通常モードを切り替える。
徹底的にコストもデータも節約したい方は、常に低速モードを使用し、必要な時だけ通常モードに切り替える。

「お客様がどれくらい節約したいか」に応じて、適切な方法で低速モードに切り替えるようにしてくださいね。

格安SIMの低速モードに関するQ&A

低速モードへの切り替えに料金はかかりますか?
かかりません。

各キャリアのアプリまたはマイページにて、専用スイッチを入れるだけで低速モードに切り替えることができます。

低速モードで事足りるその用途のたびに、何度でも切り替え可能です。

データ残量がなくなってから低速モードに切り替えられますか?
データ残量がなくなった後は、低速モードへの切り替えはできなくなります。

データ残量がなくなった後は自動的に“通信制限”へと切り替わります。ここからは低速モードに切り替えることはできません。

低速モードの恩恵を受けられるのはデータ残量があるときだけなので、通常モードと低速モードとをうまく使い分けるようにしてください。

バースト転送機能とは何ですか?
低速モード時、最初の一定量だけ高速通信ができる機能のことです。

バースト転送機能があると、使用データ量が一定量に達するまでは通常と変わらない高速通信ができます。低速モードのデメリットである“遅さ”を多少改善できる機能ということですね。

ただし、この機能は低速モードを持つ格安SIMすべてが持っているわけではありません。また、バースト転送機能は使用量が限られているので、あくまでも補助的なものと考えるようにしてください。

丸山 和輝
記事の監修責任者
丸山 和輝

大学ではスポーツ科学部・競技スポーツ学科を専攻。陸上部に所属。長距離部門の選手として数々の大会に出場し、多くの功績を残すが、箱根駅伝メンバーにはあと1歩及ばず。その悔しさをバネに、個人の成果を重視する INEに新卒入社。電気・ガスなどの商材を扱う内勤営業で経験を積む。入社2年目の11月より通信回線を扱う部署のSmgrに昇格。現在に至る。