
大手キャリアのメリットは“格安SIMが削減したサービス”
大手キャリアには、格安SIMと比べるとどんなメリットがあるの?
格安SIMが、その安さを実現するために削ったものが大手キャリアのメリットです。具体的には店舗サポートや通信の安定さが挙げられます。
結論から申し上げると、大手キャリアのメリットとは、格安SIMがその安さを実現するために“あえて削ぎ落としたサービス”そのものと言えます。
大手キャリアの料金は月々7,000円〜8,000円、格安SIMの料金はおよそ2,000円〜3,000円が相場。
そしてこの間に存在する、4,000円〜5,000円ほどの両者の差額が、“得られるサービス(メリット)”の差分であり、“対価”なのです。
まずはこの金額差に含まれるサービス、つまりメリットは何か正しく理解しましょう。それこそが、お客様がご自身の使い方に最適なプランを見極めるための、最も大切な鍵となります。
メリット1.全国どこでも対面で相談できる“店舗サポート”
初期設定はもちろん故障時も、いつでもスタッフに直接相談が可能です。スマホに不慣れな人には、“安心感”という大きな価値になります。
「スマホの調子が悪い」「機種変更のデータ移行が不安」「料金プランを見直したい」
こんなときに、“専門スタッフ”に“直接”相談できる場所がある。この「店舗サポート」が、大手キャリアが提供する最大のメリットであり、価値のひとつです。
格安SIMの多くは、人件費や店舗というコストの削減のために実店舗を持たず、サポートをオンラインのチャットや電話に限定しています。
一見問題ないように思えますが、いざトラブルが起きるとその差は歴然です。
たとえば、突然スマホがインターネットにつながらなくなった時。
格安SIMの場合、「まず自分で原因を調べて解決策を試し、それでもダメならサポートに問い合わせる」という手順を踏むことになります。
自力ではトラブル解消が難しい方もいるでしょう。オンラインサポートに問い合わせても、すぐに応答・問題解決に結びつくかはわかりません。
ahamo等一部の格安SIMでは、1回3,300円ほどで対面による有料サポートを受けられる場合もあります。つまり、この“店舗サポートの価値”はおよそ3,300円ほどと換算できます。
この有料サポートを受ければ、大手キャリアと格安SIMとの料金差はほぼなくなることからも、それくらいの価値であることが伺えるでしょう。
Apple Store等メーカーの修理サービスに持ち込むならば、その費用は数万円以上にのぼります。
つまり、格安SIMでのトラブル発生時に費やすはずだった数時間の手間とストレスを、大手キャリアでは月々の料金で「買っている」と考えることができるのです。
メリット2.いつでも快適につながる“通信品質・安定性”
大手キャリアはランチ時や通勤ラッシュなどの混雑時間帯でも通信速度が安定しています。これは、大手の回線を借りている格安SIMにはないメリットです。
大手キャリアと格安SIMでは、使っている電波は同じでも、通信の「快適さ」には明確な差が生まれます。なぜなら、格安SIMは大手キャリアから通信網の一部を「間借り」している状態だからです。
道路でたとえるなら、大手キャリアは複数の車線を持つ高速道路を所有しているイメージ。利用者が増えてもスムーズに流れます。
一方、格安SIMはその高速道路の一車線だけを借りて、多くの利用者で分け合っているイメージです。
これにより、多くの人が一斉にスマホを使い始める時間帯や場所で、顕著な差が生まれます。
- お昼休みの12時台、SNSの読み込みが異常に遅い
- 通勤ラッシュの電車内、動画がカクカクしてまともに見られない
- 花火大会やイベント会場で、地図アプリが開けず、友人との連絡もままならない
これらは、格安SIM利用者が実際に経験しがちな“通信速度の低下”です。
大手キャリアであれば至って普通にスマホを使えた日常が、格安SIMにすることで「繋がらない」というストレスを感じやすい日々に変わる可能性があるのです。
この通信品質は、店舗サポートのように、お金をかけて代替することはほぼ不可能です。
これは、大手キャリアの月々の料金に含まれた、目には見えないけれど非常に重要なメリットで価値であると言えるでしょう。
メリット3.家計を抑えることにつながる“セット割引”
家族割引・ネット回線や電気とのセット割などによって、家計を節約できるのも大手キャリアのメリット。あくまでも格安SIMは“スマホ代のみ“しか安くできません。
格安SIMの最大の魅力は、“スマホ一台分の料金”が安くなる点です。
しかし、大手キャリアは視点が少し異なります。スマホ一台分ではなく、家庭全体の通信費、ひいては生活費全般を節約する仕組みを提供しているのです。
代表的なものが、「家族割」や「光回線・でんきとのセット割」でしょう。各種の一般的な割引額は以下のようになっています。
各種割引の割引額
- 家族割:同一キャリアに3回線以上の契約で、それぞれ1,100円ずつ割引。2回線以上なら550円ずつ割引
- インターネットとのセット割:ネットとスマホのキャリアが同じ場合に、家族全員1,100円ずつ割引
- 電気とのセット割:電気とスマホのキャリアが同じ場合に、家族全員550円ずつ割引
たとえば、家族3人が同じ大手キャリアのスマホを使っているなら、一人につき1,100円の家族割引が発生します。
もし、お客様一人が格安SIMに乗り換えて月4,000円安くなったとしても、残されたご家族の割引額が減る、もしくは適用外となって割引がなくなってしまうことがあります。
結果的にお客様以外のご家族は、スマホ代が実質値上がりしてしまうことになる、というケースも起こり得ます。
また、今のキャリアとインターネット会社や電気会社をそろえていた場合、格安SIMにすることで、「光回線・でんきとのセット割」もなくなります。
割引がなくなるので、つまりはネット代や電気代を含む月々の光熱費が、実質およそ2,000円ほど上がることに。
家族の人数によって具体的な額は変わってきますが、格安SIMにすることで、通信費と光熱費を含む家族全体の生活費が、3,000円以上値上がりすることに。
この額は、大手キャリアと格安SIMとの料金差とあまり変わらない額です。
大手キャリアのセット割引は、スマホだけでなく家計全体を最適化する選択肢となっていることを忘れないようにしてください。
メリット4.最新スマホがお得に手に入る“端末購入プログラム”
大手キャリアであれば、最新のスマホを、分割払いや割引プログラムを利用してオトクに購入できます。最新デバイスをいち早く使いたい人には大きなメリットです。
数年ごとに発売される、十数万円もの最新スマホを購入するのは、決して小さな負担ではありません。
しかし、大手キャリアが提供する“端末購入プログラム”があれば、この負担を大幅に軽減してくれます。
用語解説
- 端末購入プログラム
- 約2年後に端末を返却することを条件に、残りの分割支払いが免除されるというもの。実質的に、本体価格の半額程度で2年間、最新機種を使い続けられることになる
たとえば、2025年10月最新のiPhoneであるiPhone17ですが、Apple Storeの金額では256GBの端末は約130,000円となっていました。
このプログラムを使えばおよそ65,000円になるということですね。
これは、大手キャリアならではのメリットです。
格安SIMを利用する場合は、このような特典はほぼありません。最新端末が欲しい場合は、Apple Storeや家電量販店等で、十数万円かけて最新端末を購入することになります。
もちろん、格安SIMのキャリアによっては端末を破格の値段で購入することもできます。しかし最新のハイエンドモデルの取り扱いはないか、あってもかなり少なくなります。
つまり、この「端末購入プログラムによる端末料金の差額」が、大手キャリアで得られる価値ということです。
「常に最新のモデルを使いたい」と考える方にとっては、この大手キャリアの購入プログラムがもたらすメリットは、月々の料金差を超える価値となる可能性が高いです。
メリット5.キャリアの経済圏で貯まる・使えるポイント
ソフトバンクならPayPayポイントが、ドコモならdポイントが、月額料金の支払いで貯まります。それら経済圏の人なら、ポイント分オトクに日々の買い物ができるわけです。
月々の料金の支払いで、ドコモならdポイント・auならPontaポイント・ソフトバンクならPayPayポイントが貯まる仕様になっています。
さらに、“LYPプレミアム”のような、ポイント還元率アップの特典を、大手キャリアと“契約しているだけ”で得られることも。
このように、大手キャリアはそれぞれが強力なポイント経済圏を築いています。
そしてこのポイントは、もちろんコンビニや飲食店、ネットショッピングなど、日々のあらゆる支払いで使うことができます。スマホ代の支払いへの充当も可能です。
特に、クレジットカードやコード決済をキャリアのサービスで統一していれば、そのポイント還元率は驚くほど高くなります。人によっては、毎月数千円相当のポイントを獲得することも珍しくありません。
この数千円分のポイントは、実質的な通信費の割引と考えることができます。
月々のスマホ代が7,000円でも、毎月2,000ポイントが還元されるなら、実質的な料金は5,000円。
普段の買い物スタイルが大手キャリアの経済圏と深く結びついているのなら、格安SIMとの料金差はぐっと縮まります。
格安SIMにも独自のポイントサービスはありますが、その経済圏の規模や生活への密着度は、大手キャリアに及ばないのが現状です。
大手キャリアから格安SIMに乗り換えるということは、これらの“デフォルトのサービスとして享受できていたメリット”を手放す、という意味でもあります。それでも困らない…不要であると考えるかどうかで、どちらを採るべきかが決まるわけですね。
チェックリスト|各メリットの要不要を判定
大手キャリアのメリットはわかったけど、自分にはこれらのメリットが必要なのかな?
ご自身のこれまでの生活や価値観を鑑みて、以下のチェックリストで判断してみましょう。要・不要が一目でわかり、どうすればいいかが判断できるはずです。
ここまでご紹介した5つのメリットが、あなたが格安SIMではなく大手キャリアに支払っている価値の内訳です。
大切なのは、これらのメリットがお客様のスマホの使い方やライフスタイルにとって“価値となっているか”すなわち「必要かどうか」を判断することです。
以下のチェックリストを使って、判断してみてください。
| メリット | 詳細 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 店舗サポート | 専門スタッフによる対面での相談、 設定代行、トラブル解決 | 過去にトラブルや困ったことが起こった際、 自力で解決できず店舗に行ったことがある |
| 通信品質 安定性 | お昼休みやイベント会場など、 混雑する時間・場所でも 安定して通信できる | ・お昼休みや通勤電車の車内などで 「通信が遅い」と感じることが許容できない ・仕事の連絡や決済で 通信の遅延が許されない |
| セット割引 | 家族割や自宅のネット・電気との セット割で、世帯全体の固定費を 削減できる | ・自分以外の家族に割引が 適用されている ・自宅のネット回線との セット割引が適用されている |
| 端末購入 プログラム | 最新の高価なスマートフォンを、 実質半額程度の負担で 約2年間利用できる | 最新の端末が発売されるたびに スマホを買い替えている |
| ポイント 経済圏 | 普段の買い物やサービス利用で 効率的にポイントが貯まり、 通信費の負担を軽減できる | PayPay、d払い等の決済サービスを 頻繁に使っており、毎月3,000円以上の ポイントを貯めたり使ったりしている。 |
大手キャリアを使い続けた方がいい人の特徴
大手キャリアのメリットは、あなたの生活に大きな価値をもたらしています。たしかに料金は高いかもしれませんが、それは「安心料」と捉えましょう。
上記のチェックリストで「要」が多くついた方は、大手キャリアのサービスに月数千円を支払う価値を十分に見出していると言えます。具体的には、以下のような方々です。
- ビジネス上の損失や信用の低下に直結するため、スマホトラブルは当日解決・即復旧が最優先
- 平日昼ピークやイベント会場等、混雑した場面で速度が落ちると困る
- 家族全員の通信費をまとめて管理し、家計全体の最適化を図りたい
- 万が一の通信障害時にも、補償や代替手段を含めた手厚いサポートに安心を感じる
お客様にとってのスマホとは、単なる通信手段ではなく、生活と仕事を支える重要なインフラであると言えます。
お客様の場合、大手キャリアのその料金と引き換えに享受できる豊富なサービスが、お客様にとって非常に重要な価値となるでしょう。
格安SIMがマッチしている人の特徴
大手キャリアの不要な部分を削ることで料金を節約できる可能性があります。必要な部分を残した・もしくはオプションとして追加できる格安SIMを選ぶのも手でしょう。
一方で、チェックリストのほとんどが「不要」だった方もいるでしょう。それは、お客様が、ITリテラシーが高くお1人でもサービスを使いこなせる証拠です。
- 万が一のトラブルも、自分で調べて解決できる自信がある
- 通信は最低限できればよく、混雑時の速度低下は特に気にならない
- 家族とは独立して、自分一人の料金をとにかく安く抑えたい
- 端末は長く使うタイプで、最新機種へのこだわりが薄い
このような方にとっては、大手キャリアの手厚いサービスはいわば“過剰品質”。その分の料金を支払う必要性は低いと言えます。
コストを最小限に抑え、自分に必要な分だけを賢く利用する。そんな使い方をするお客様には、格安SIMがぴったりです。
まとめ
格安SIMが削減した“大手キャリアのメリット”に価値を感じるかどうかが重要
大手キャリアのメリットは、料金の高さに含まれたさまざまなサービス。格安SIMが、コスト削減のために失くしたものが大手キャリアのメリットです。
「大手キャリアを使い続けるべきか、格安SIMに乗り換えるべきか」を判断するためには、まず大手キャリアにはあって格安SIMが削減した、“メリット”であるサービスを把握することが大切です。
そしてそのメリットである「店舗サポート」「通信品質」「家族割」「端末購入補助」「ポイント経済圏」という点に、月々数千円を支払う価値を感じるかどうか。
価値を感じられるのであれば、それは大手キャリアを使い続けるべきだと言えます。月々支払っている高い料金は、必要経費です。
逆にこれらのサービスを利用していないなら、大手キャリアのメリットはあなたにとってあまり価値のないものかもしれません。不要なものはそぎ落とし、コストを抑えられる格安SIMへ乗り換えても良いでしょう。
大手キャリアのメリットに
関するQ&A
- 大手キャリアのオンライン専用プランと格安SIMとは何が違うのですか?
- 基本は同じですが、通信品質に大きな違いがあります
ドコモのahamo、auのpovo、ソフトバンクのLINEMOといった、大手キャリアのオンライン専用プランは、大手キャリアの高品質な通信と格安SIMの低価格を両立させた「いいとこ取り」の選択肢と位置づけられています。
基本的には格安SIMと同じようなスタイルです。人件費を抑えるためサポートはオンライン限定であるほか、割引等も発生しません。
しかし、これらオンライン専用プランは、大手キャリアの通信回線を借りることなく“そのまま”利用しています。
お昼休みなどの混雑時間帯でも速度が落ちにくく、通信品質が非常に安定しているのが格安SIMとの違いです。
- 今の電話番号はそのまま格安SIMで使えますか?
- そのまま使うことができます
基本的には、契約中の大手キャリアで“MNP予約番号”を発行し、乗り換え先の格安SIMに入力すれば、お使いの電話番号をそのまま使うことができます。
ただし2023年5月から「MNPワンストップ方式」が導入され、この方式に対応している事業者間であれば、乗り換え先の会社で手続きをするだけで自動的に電話番号が引き継がれます。
基本的にはほぼすべての格安SIMがこの方式を導入していると考えて問題ありません。スムーズに電話番号を引き継いで使うことができます。
- 格安SIMに乗り換えてもし合わなかったら大手キャリアに戻れますか?
- はい、問題なく可能です。
多くの格安SIMでは、短期間の契約であっても違約金等は発生しません。
さらに大手キャリア側では新規契約者や再契約者向けにキャンペーンを用意していることも多く、お得に再契約できる可能性もあります。
格安SIMから大手キャリアへの乗り換えも、逆の場合とまったく同じ手順で行うことができます。
「一度乗り換えたら戻れない」ということは決してありませんので、ご安心ください。
いらっしゃいませ、株式会社INEの丸山です。
大手キャリアのスマホを利用している方がたびたび感じる“料金の高さ”。そんな時に頭をよぎるのが格安SIMという選択肢でしょう。
しかし格安SIMはその料金の安さゆえに、「何か困ることがあるのではないか」と考えてしまい、あまり乗り気になれない方も多いはずです。
この記事では、そんなお客様が納得した決断を下せるよう、大手キャリアが提供するメリットをひとつひとつ丁寧に解説していきます。
そのうえで、それらのメリットの要不要がわかるよう、チェックリストをお渡しします。
大手・格安どちらを採るべきか判断するため、ぜひ最後までご覧ください。