2025.12.25(更新:2025.12.25)

ホームルーターでオンラインゲームは厳しい?快適に遊ぶための条件とラグ対策を徹底解説

速度
記事の監修責任者
丸山 和輝

いらっしゃいませ、株式会社INEの丸山です。

工事不要で手軽なホームルーターですが、「オンラインゲームは快適に遊べるの?」「ラグで勝負にならないのでは?」と不安をお持ちではないでしょうか。

特にFPSや格闘ゲームのような一瞬の反応が問われるジャンルでは、回線の質が勝敗に直結するため、慎重になるのは当然のことです。

結論から言うと、RPGやエンジョイ勢なら「十分可能」ですが、FPSなどのガチプレイは「厳しい」というのが現実です。

この記事では、遊べるゲームの「境界線」を明確にし、少しでもラグを減らすための設定術や、契約前の注意点を徹底解説します。

後悔しないよう、ご自身のプレイスタイルに合うかしっかり確認していきましょう。

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目次

ホームルーターでオンラインゲームが楽しめる人と厳しい人

ホームルーターでオンラインゲームってできる?

FPSなどのガチプレイには厳しい側面がありますが、エンジョイ勢やRPGなら十分楽しめますよ。

「ホームルーターはゲームには無理」「絶対に光回線にするべき」

ネット上にはそんな極端な意見も多いですが、結論から言うと「すべてのゲームが無理なわけではない」というのが真実です。

ホームルーターでゲームが遊べる人、厳しい人の違いは以下の通りです。

ホームルーターでオンラインゲームが遊べる人・厳しい人

  • ⭕️ 遊べる人(エンジョイ勢)
    「友達とボイスチャットしながら楽しく遊びたい」「RPGやカードゲームがメイン」➡ たまにラグがあっても「あ、止まった(笑)」と笑って許せるなら、ホームルーターで十分楽しめます。
  • ❌ 厳しい人(ガチ勢)
    「FPSのランクマッチで上位を目指したい」「格闘ゲームでコンボをミスりたくない」➡ 回線のわずかな遅れがストレスや敗因になるため、光回線が必須です。

さすがに光回線と同等の「完全な安定性」を求めるのは難しいですが、条件や設定次第で品質を「遊べる水準」まで引き上げることは可能です。

近年では、より遅延の少ない「5G SA」に対応した機種も登場しており、環境は改善されつつあります。

用語解説

5G SA(Stand alone)とは
4Gの設備を一部流用する従来の「5G NSA(Non-Stand alone)」とは異なり、基地局からコアネットワークまで全てを5G専用設備で構成する最新の通信方式です。「超低遅延」という5G本来の性能をフルに発揮できるため、オンラインゲームにおけるラグの改善が期待されています。

とはいえ、ホームルーターはあくまで「無線」です。

物理的なケーブルでつながる光回線と比較すると、構造上どうしても越えられない壁が存在するのも事実です。

なぜ無線だとラグが起きやすいのか。その技術的な理由を理解しておきましょう。

ホームルーターが光回線に勝てない「3つの壁」

5Gで速いはずなのに、どうしてラグが起きるの?

ゲームに必要なのは「道路の広さ(Mbps)」ではなく、「渋滞の少なさ(Ping値)」だからです。

よくある誤解ですが、「回線速度(Mbps)が速ければラグが直る」というのは間違いです。

例えるなら、Mbpsは「道路の車線数(広さ)」で、Ping値は「目的地までの移動時間」です。

いくらスポーツカー(ホームルーター)が速くても、渋滞(無線の遅延)が多い道路を走っていては、目的地(サーバー)には早く着きません。

ホームルーターが構造上、どうしても光回線に勝てないポイントは、まさにこの「遅延」に関する以下の3点です。

1. 「応答速度(Ping値)」の壁

YouTubeを見るなら「データの量(Mbps)」が大事ですが、ゲームは「反応の速さ(Ping値)」が命です。ホームルーターはこの「反応」がワンテンポ遅れるため、ボタンを押してから動くまでに時差(ラグ)が生まれます。

Ping値とは、「あなたの操作がサーバーに届き、結果が返ってくるまでの往復時間」のことです。

光回線が「有線」でダイレクトにやり取りするのに対し、ホームルーターは「無線」を経由するため、どうしてもこの往復に時間がかかります。

具体的にどれくらいの差が出るのか、一般的な目安を比較してみましょう。

回線タイプ別 Ping値の目安とプレイへの影響

回線タイプPing値の目安ゲームプレイへの影響
光回線15ms以下非常に快適。
FPSや格ゲーのガチ対戦でも全く問題なし。
ホームルーター30ms〜50ms普通〜少し遅れる。
RPGやエンジョイ勢なら問題ないが、
FPSだと「撃ち負ける」ことが増える。

出典:みんなのネット回線速度

このように、数値で見ると倍以上の差が開くことも珍しくありません。

FPSでは、このわずか0.0数秒の遅れが「壁に隠れたはずなのに撃たれた」という現象を引き起こす正体です。

2. 電波干渉によるパケットロス

スマホの電波と同じで、ホームルーターは雨の日や、夕方の混雑時に通信が不安定になりがちです。データが途中でこぼれ落ちる(パケットロス)と、ゲーム画面が一瞬止まったり、キャラがワープしたりします。

光ファイバーという「専用道路」を通る光回線とは違い、ホームルーターは空気中の電波を使います。

ホームルーターの通信の仕組み

そのため、近隣の建物の影響や天候、あるいは家電製品の電波干渉を受けやすく、通信品質が常に一定ではありません。

Ping値が常に変動してしまう現象を「ゆらぎ(ジッター)」と呼び、これが悪化するとデータが届かない「パケットロス」に繋がります。「急にラグくなった」という現象の正体はこれです。

3. 「上り速度(アップロード)」の壁

ホームルーターは「動画を見る(ダウンロード)」ことには特化していますが、「データを送る(アップロード)」のは苦手です。自分の操作情報をサーバーに送り続けるゲームでは、ここがボトルネックになります。

Web閲覧や動画視聴は「下り(ダウンロード)」がメインですが、オンラインゲームは双方向の通信です。

サーバーから映像データを受け取るだけでなく、「自分のキャラクターが右に動いた」「攻撃ボタンを押した」といった操作情報を、常にサーバーへ送り続ける(アップロード)必要があります。

しかし、無線回線は構造上、この「上り」が極端に遅くなりやすい傾向があります。

実測値の目安を比較してみましょう。

回線タイプ別 上り速度の目安とプレイへの影響

回線タイプ上り速度の目安ゲームプレイへの影響
光回線100Mbps以上非常に快適。
ゲーム配信(実況)や、部屋主(ホスト)
になっても安定する。
ホームルーター10〜20Mbpsギリギリ〜注意。
プレイ自体は可能だが、配信は厳しい。
ホストになると回線落ちのリスク有。

このように、ホームルーターの上り速度は光回線の10分の1程度しか出ないことも珍しくありません。

上り速度が遅すぎると、自分の操作データがサーバーに届くのが遅れ、以下のような現象が起きます。

  • 同期ズレ:自分と相手の画面でキャラクターの位置が微妙にズレる。
  • 弾抜け:敵に照準が合っているのに、撃っても当たらない判定になる。
  • ホスト不可:ゲームによっては、通信が不安定なため部屋主(ホスト)になれない。

ホームルーターで遊べるゲーム・遊べないゲームの境界線

結局、どのゲームなら快適に遊べて、どのゲームが無理なの?

瞬発力が求められる対戦ゲームは厳しく、RPGやカードゲームなら快適に遊べる傾向があります。

「オンラインゲーム」と一括りにせず、タイトルごとの特性に合わせて判定することが重要です。

ホームルーターで「快適」なのか、それとも「厳しい」のか。

主要な4つのジャンルで境界線を引きました。

FPS・TPS(Apex Legends, Valorant, Splatoon 3など)

友達と遊ぶエンジョイ勢ならOK。ただし、コンマ数秒を争うランクマッチ上位では、回線差で不利になります。

【判定:△ 厳しい(エンジョイ勢なら可)】

敵と遭遇してからの0.1秒が勝敗を分けるこのジャンルでは、ホームルーターはどうしても不利になります。

Ping値(応答速度)が遅れると、「自分の画面では壁に隠れたのに、撃たれてダウンした」といった現象が起きやすくなるためです。

友人とのカジュアルマッチや、協力プレイ(サーモンラン等)なら楽しく遊べますが、上位ランク(プレデターやレディアント)を目指すようなガチプレイには不向きです。

格闘ゲーム(ストリートファイター6, スマブラSPなど)

正直、かなり厳しいです。格ゲーは無線だと「相手の画面もカクつかせる」ため、マナーの面でも有線(光回線)が強く推奨されます。

【判定:× かなり厳しい】

格闘ゲームは、1/60秒(フレーム)単位での同期が求められる最もシビアなジャンルです。

ホームルーター特有の通信の「揺らぎ」が発生すると、対戦相手の画面もスローになったり止まったりしてしまいます。

最近のタイトルでは「無線LANプレイヤー」が表示され、対戦を拒否されるケースも増えています。

格闘ゲームを本気で楽しみたい場合は、ホームルーターは避けるか、最低でも有線接続にするのがマナーと言えるでしょう。

MMORPG・原神(FF14, Blue Protocolなど)

基本的には「快適」です。敵の動きが決まっている戦闘が多く、FPSほど瞬発力がいらないため、多少のラグは許容範囲内です。

【判定:◯ 普通〜快適(高難易度コンテンツは注意)】

MMORPGやオープンワールドRPGは、FPSのように「0.1秒の反射神経」を求められる場面が少ないため、ホームルーターでも十分に楽しめます。

サーバー側で処理される情報が多く、多少の通信遅延があってもゲーム側が補正してくれるタイトルも多いためです。

ただし、FF14の「絶・零式(高難易度レイド)」のような、8人が一糸乱れぬ動きを要求されるコンテンツでは注意が必要です。

ラグで範囲攻撃を避けきれずに即死すると、パーティ全体に迷惑をかける可能性があるため、そのレベルに挑む時だけは有線接続などの対策を推奨します。

カードゲーム・ターン制(遊戯王マスターデュエル, シャドウバースなど)

「快適」です。将棋や囲碁と同じで、考える時間にラグがあっても勝負には影響しません。

【判定:◎ 快適】

自分のターンと相手のターンが明確に分かれているゲームは、通信速度や応答速度の影響をほとんど受けません。

操作してから結果が反映されるまでに0.1秒の遅れがあったとしても、ゲームの進行には何の問題もないからです。

唯一、「回線切断」だけは負け扱いになるリスクがありますが、普通に電波が入る環境であれば、ホームルーターで最も安心して遊べるジャンルと言えます。

ホームルーターでゲームをする際の「落とし穴」4選

契約してから「失敗した」と後悔しないために、事前に確認すべきことは?

「速度制限」や「NATタイプ」など、カタログスペックには載っていない仕様を確認しましょう。

ホームルーターを契約してゲームを始めた後に、「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースは少なくありません。

特にオンラインゲームを目的とする場合、一般的なWeb閲覧では気にならない仕様が、致命的な問題になることがあります。

契約前に必ずチェックしておくべき、4つの「落とし穴」について解説します。

1. 混雑時間帯の速度制御と帯域制限

「データ無制限」でも、混雑時や使いすぎた場合には速度制限がかかることがあります。

多くのホームルーターは「データ容量無制限」を謳っていますが、これには注釈がつきます。

「ネットワークの混雑状況によっては、通信速度を低下させる場合がある」というルールです。

特に利用者が集中する夜間(20時〜24時頃)や、短期間に大容量のゲームデータをダウンロードした場合などに、一時的に速度制限がかかる可能性があります。

完全に無制限で使い放題なのは光回線だけであり、ホームルーターは「公平な利用」のために制御が入る可能性があることを理解しておきましょう。

2. 利用場所の制限(登録住所以外での利用)

ドコモやソフトバンクは登録住所以外での利用が禁止されています。持ち運びはできません。

「コンセントに挿すだけなら、実家に帰省した時や旅行先でも使えるのでは?」と考える方も多いですが、サービスによってルールが異なります。

サービスごとの利用場所制限

  • ドコモ home 5G / SoftBank Air
    登録した設置住所以外での利用は厳禁です。GPSや基地局情報で位置を特定しており、違反すると通信停止や強制解約になる恐れがあります。
  • WiMAX
    登録住所以外でも利用可能です。出張先や入院先などに持ち運んでゲームをしたい場合は、WiMAX一択となります。

「実家やホテルでもゲームがしたい!」という方はWiMAX一択ですが、自宅でのプレイがメインなら、移動制限があっても通信品質が安定しやすいドコモやソフトバンクを選ぶのがおすすめです。

3. NATタイプ(CG-NAT)によるマッチング不具合

一部のゲーム機で「NATタイプ」が厳しくなり、対戦相手とマッチングできないことがあります。

これはゲーマーにとって最も厄介な問題の一つです。

ホームルーターは仕組み上、複数のユーザーで一つのIPアドレスを共有する「CG-NAT」という方式を採用していることが多いです。

用語解説

CG-NATとは
「Carrier Grade NAT(キャリアグレードナット)」の略で、1つのIPアドレスを、複数の利用者でシェアする仕組みのことです。例えるなら、巨大なマンションに「代表電話」しかない状態です。こちらから電話をかけることはできますが、外からあなた宛に直通電話をかけようとしても、内線番号(個別のポート)が固定できないため繋がりません。

この仕組みのため、ホームルーターではゲームに必要な「ポート開放」の設定が原則できません。

この影響で、Nintendo SwitchやPS5などのゲーム機側で通信のしやすさを表す「NATタイプ」が最も厳しい「D(Strict)」などと判定されることがあります。

用語解説

NATタイプ「D(Strict)」とは
一言で言えば「面会謝絶の厳重ロック状態」です。セキュリティが厳しすぎて、他のプレイヤーと通信の握手ができません。「部屋に入れない」「フレンドと合流できない」といった不具合が多発します。

こうなると、ポート開放が必要なP2P型のゲーム(スプラトゥーン3やスマブラSPなど)はまともに遊べなくなるため、契約前に「その機種で遊びたいゲームができるか」確認することが重要です。

4. 有線LANポートの数と規格

有線接続したくても、LANポートが足りない機種があるため注意が必要です。

有線接続をするためにLANケーブルを挿そうとしたら、「ポートが足りない」「挿したのに速度が出ない」というトラブルがよく起こります。

ホームルーターを選ぶ際は、無線性能だけでなく、背面のポートスペックもしっかり確認しましょう。

ポートの数(足りない場合はハブが必要)

一般的な光回線ルーターはLANポートが4つほど付いていますが、ホームルーターは「1つ」か「2つ」しかない機種がほとんどです。

「SwitchとPS5とPC、全部有線で繋ぎたい」と思っても、物理的に穴が足りません。

その場合は、別途「スイッチングハブ」という分岐装置(千円〜二千円程度)を購入してポートを増設する必要があります。

ポートの規格(ホームルーター本体の最大速度)

最も重要なのが、ホームルーターの背面に搭載されているLANポートの「最大速度」です。

このポートの規格にはグレードがあり、低いグレードのものを使ってしまうと、どんなに5G電波が速くても、そこでブレーキがかかってしまいます。

LANポート規格比較表

規格名最大速度ゲーマー
判定
特徴
100BASE-TX100Mbps論外10年以上前の古い規格。
今のゲームには力不足で、
ボトルネックになります。
1000BASE-T
(1Gbps)
1Gbps合格現在の標準規格。
一般的なホームルーターや
ゲーム機はこれに対応しています。
2.5GBASE-T
(2.5Gbps)
2.5Gbps推奨最新機種に搭載。
1Gbpsの壁を超える高速通信が可能。
WiMAX L13やドコモHR02などが対応。

現在販売されている最新のホームルーター(WiMAX L13やドコモ HR02など)は、より高速な「2.5Gbps」ポートを搭載しているものが増えています。

ホームルーターのラグを減らすための現実的な対策

ラグを減らすための対策は何かある?

まずは「有線接続」にするのが最も効果的です。設定変更でも改善する可能性がありますよ。

「ラグい!」と感じた時、すぐに諦めるのはまだ早いです。

劇的な改善とまではいかなくても、簡単な工夫や設定変更で通信品質を安定させ、「遊べるレベル」まで引き上げられる可能性があります。

ここでは、専門的な知識がなくても実践できる、現実的な対策をご紹介します。

対策1.LANケーブルで「有線接続」にする

無線(Wi-Fi)をやめてケーブルで繋ぐだけで、安定性は劇的に向上します。

ホームルーターの最大のメリットは「無線で使えること」ですが、オンラインゲームにおいては、そのメリットを捨ててでもLANケーブルで直接つなぐ「有線接続」が鉄則です。

Wi-Fiは空気中を飛ぶため、どうしても家具や壁、他の家電の電波干渉を受けて通信が揺らいでしまいます。

これを物理的なケーブルに変えるだけで、パケットロスや突然の回線切れのリスクを大幅に減らすことができます。

ケーブルには「CAT(カテゴリ)」という規格があります。家庭用として選ぶなら「CAT6A」が最もバランスが良くおすすめです。

  • CAT6A(おすすめ):通信速度10Gbps対応でノイズにも強い。現在の標準です。
  • CAT7 / CAT8(非推奨):数字が大きいほど高性能に見えますが、これらは業務用でアース接続が必要なため、一般家庭で使うと逆に通信が不安定になる原因になります。

対策2.周波数帯は「5GHz」を優先的に使う

Wi-Fiで遊ぶなら、電子レンジなどの干渉を受けにくい「5GHz」を選びましょう。

構造上どうしても有線接続ができない場合は、接続するWi-Fiの「周波数帯」を見直してください。

Wi-Fiには「2.4GHz」と「5GHz」の2種類がありますが、ゲームには迷わず「5GHz」を使用します。

「2.4GHz」と「5GHz」の違い

  • 2.4GHz(遅い・干渉しやすい):電子レンジやBluetoothイヤホンと同じ周波数を使うため、家族がレンジを使った瞬間に回線が切れるなどのトラブルが起きます。
  • 5GHz(速い・干渉しにくい):他の家電と干渉せず、通信速度も高速です。ただし壁などの障害物に弱いため、ルーターはできるだけゲーム機の近くに置くか、中継機を利用しましょう。

接続するSSID(Wi-Fiの名前)の末尾に「-5G」「-a」と付いているのが5GHz帯の目印です。

壁を隔てると極端に弱くなる弱点さえ克服できれば、通信品質は段違いに向上します。

ルーターの置き場所を工夫してでも、この「5GHz」を掴むことがラグ解消への第一歩です。

対策3.5Gが不安定ならを4Gに固定する

あえて5Gをオフにして「4G」に固定することで、通信が安定するケースがあります。

「5Gエリア内なのにパケロスがひどい」という方に試してほしいのがこの設定です。

5Gエリアの境界線付近では、端末が微弱な5G電波を無理に掴もうとして、4Gと5Gを行ったり来たりする(ハンドオーバー)現象が起きます。

この切り替わりの瞬間に通信が一時的に止まる「パケ止まり」が発生し、ゲーム内では致命的なラグとなります。

ドコモ home 5Gなどの管理画面から「ネットワークモードを4Gのみに固定」することで、爆発的な速度は出なくなりますが、通信の途切れを防ぎ安定させることができます。

対策4.ルーター設定の「UPnP」機能をオンにする

ルーター設定の「UPnP」機能をオンにすると、マッチング不具合が直ることがあります。

「フレンドと合流できない」「対戦相手が見つからない」といったトラブルの多くは、ルーターのセキュリティ機能が、ゲームに必要な通信の通り道を塞いでしまっていることが原因です。

これを解決する機能が「UPnP」です。多くのホームルーターには搭載されていますが、初期設定でオフになっている場合もあるため、管理画面から確認してみましょう。

用語解説

UPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)とは
一言で言えば、「ゲームに合わせて自動で通り道を開けてくれるコンシェルジュ機能」です。本来は非常に難しい「ポート開放」という設定を自動化する機能です。オンにしておけば、ゲーム機からの「通りたい」という合図に合わせて、ルーターが必要な通信の扉を勝手に開けてくれるようになります。

特にNintendo SwitchやPS5のP2P型ゲーム(スプラトゥーン、スマブラ、モンハンなど)では、このUPnPが正常に働いているかどうかが快適さを大きく左右します。

ゲーマーが選ぶべきホームルーター|機種別スペック比較

ゲームをするならどの機種を選ぶのが正解なの?

ゲーマーなら「WiMAX」一択です。性能と設定の自由度が他社より優れています。

ホームルーターは各社から様々な機種が出ていますが、「オンラインゲームをプレイする」という目的に絞った場合、選ぶべき機種は明確です。

まずは、主要3サービスの基本スペックとゲーミング性能を比較した表をご覧ください。

主要ホームルーター ゲーミング性能比較

サービス名機種名平均Ping値
(応答速度)
ゲーム
適性
月額料金
(目安)
WiMAXSpeed Wi-Fi
HOME 5G L13
50ms3,700円〜
4,900円
ドコモ home 5GHR0241ms5,280円
ソフトバンクAirAirターミナル640ms5,368円
Rakuten TurboRakuten Turbo 5G45〜55ms4,840円

※Ping値は環境により変動します。
※料金はプロバイダやキャンペーンにより異なります。

結論として、ゲームを最優先に考えるなら「WiMAX(L13)」が最強の選択肢です。

それぞれの機種について、ゲーマー視点でのメリット・デメリットを詳しく解説します。

WiMAX(Speed Wi-Fi HOME 5G L13):多機能でゲーマー向き

「5G SA」による低遅延と、アップロード速度の速さが魅力。設定で通信をカスタマイズできる唯一の機種です。

現在、ゲーマーから最も支持されているのがWiMAXの最新機種「Speed Wi-Fi HOME 5G L13」です。

他社製品にはない、ゲーマーに有利な特徴が揃っています。

WiMAX(Speed Wi-Fi HOME 5G L13)のおすすめポイント

  • 5G SA(Standalone)対応:従来の5Gは4Gの設備を一部流用していましたが、SAは設備全体が5G専用になるため、将来的にはさらなる低遅延(低ラグ)が期待できます。
  • アップロード速度が速い:ゲーム配信やホスト(部屋主)になる際に重要な「上り速度」が、ドコモやソフトバンクに比べて高速に出る傾向があります。
  • 設定の自由度が高い:製造元のZTE製ルーターは設定画面が充実しており、周波数帯の固定など、玄人好みの細かなチューニングが可能な点もゲーマー向きと言えます。

プロバイダ選びによって料金を安く抑えられる点も大きなメリットです。

 

ドコモ home 5G(HR02):安定感とエリアの広さ

繋がらない場所がないほどのエリアの広さと、トラブル時の「4G固定」機能が強みです。

ドコモ home 5G「HR02」は、圧倒的なエリアカバー率を誇るドコモ回線を利用できるのが最大のメリットです。

ドコモ home 5G(HR02)のおすすめポイント

  • プラチナバンドで繋がりやすい:障害物に強いプラチナバンドをしっかり掴むため、都心から地方まで場所を選ばず安定した通信が期待できます。
  • トラブル回避機能:前述したラグ対策の一つである「4G固定」設定が標準機能として搭載されているため、万が一5Gエリアの端境期でパケロスが発生しても、ユーザー側で回避策をとれる安心感があります。

 

ソフトバンクAir(Airターミナル6):最新規格で性能アップ

最新機種「Airターミナル6」ならドコモと同等の性能。ソフトバンクユーザーに最適です。

ソフトバンクの最新機種「Airターミナル6」は、Wi-Fi 6Eに対応するなどスペックが大幅に強化されており、ドコモ home 5Gと同等のゲーミング性能を持っています。

ソフトバンクAir(Airターミナル6)のおすすめポイント

  • スマホセット割が強力:ソフトバンクやワイモバイルユーザーなら「おうち割」が適用され、通信費を大幅に抑えることができます。
  • 5Gエリアも拡大中:以前の機種(Airターミナル4以前)では速度に不満の声もありましたが、最新の5G対応機種では通信品質が改善されています。エリア内であれば快適なプレイが期待できます。

※ソフトバンクAirは、以下の窓口から申し込みできます。

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Rakuten Turbo(Rakuten Turbo 5G):楽天経済圏ユーザー向け

楽天ユーザーならポイント還元などメリット大。ただし、ゲーム性能(Ping値)は他社に比べて「発展途上」なのが正直なところ。ガチプレイよりはコスト重視の方に向いています。

第4のキャリアとして登場した「Rakuten Turbo」は、楽天モバイルユーザーに対するポイント還元などの特典が魅力です。

Rakuten Turbo(Rakuten Turbo 5G)のおすすめポイント

  • 楽天ポイントが貯まる:SPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象になるため、楽天市場をよく利用する方には実質的なメリットが大きいです。

他社と比較するとエリア密度やPing値の安定性でやや劣る傾向にあります。

FPSなどのシビアなゲームをメインにする場合は、慎重な検討が必要です。

それでもラグが改善しない時の最終手段

いろいろ試してもラグが直らない場合、もう諦めるしかないのかな?

ホームルーターにこだわらず、光回線の導入を再検討するのが一番の近道かもしれません。

有線接続や設定変更を試してもラグが改善しない場合、それはもう機器の設定ではなく、「電波環境そのものの限界」である可能性が高いです。

その場合、ホームルーターを使い続ける限り根本的な解決は難しいため、思い切って光回線への乗り換えを検討すべき段階に来ています。

「うちは工事できないから」と諦めている方も多いですが、実は「工事不可」と思い込んでいるだけで、解決策があるかもしれません。

「光コラボ」ならマンションに設備がある可能性がある

NURO光やauひかりといった「独自回線」は、建物に専用の設備がないと導入できず、工事のハードルも高くなりがちです。

しかし、ドコモ光やソフトバンク光などの「光コラボ」は、NTTのフレッツ光回線を利用しています。

NTT系の光回線は日本全国の99%でご利用可能。メリットは、工事なしで開通できるケースが多いこと。デメリットは、混雑によって通信品質が低下しやすいこと。

日本の多くのマンションには、すでにフレッツ光の設備が導入されているケースが非常に多いため、大規模な工事をすることなく、簡単な作業(無派遣工事など)だけで光回線を開通できる可能性があります。

「穴あけ・ビス留めなし」なら大家さんの許可が下りることも

賃貸で光回線を断られる主な理由は、「壁に穴を開けたり、ビス(ネジ)を打ったりして建物が傷つくから」です。

しかし、最近の光回線工事は、エアコンのダクト(配管)や既存の電話線の配管を利用することで、「壁に穴を開けない工法」が主流になっています。

「建物に傷をつけずに導入できるなら」という条件で交渉すれば、許可を出してくれる大家さんや管理会社も増えているため、一度相談してみる価値は十分にあります。

「VDSL方式」はPing値においては無線より優秀

マンションのネット設備が、電話回線を利用する古い「VDSL方式」だと、「最大速度が100Mbpsしか出ないから遅い」と敬遠されがちです。

しかし、オンラインゲームで重要なのは速度(Mbps)ではなく応答速度(Ping)です。

腐っても「有線」であるVDSLは、無線であるホームルーターに比べて、Ping値の安定性やパケットロスの少なさでは勝っているケースが多々あります。

「速度は遅いけどラグはない」という環境を作れるため、ゲーマーにとってはホームルーターよりもVDSLの方が実は快適だった、という逆転現象も珍しくありません。

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まとめ

ホームルーターは条件次第で「遊べる」環境を作れる

ホームルーターでのオンラインゲームは、決して「不可能」ではありません。

しかし、光回線と比較すると「工夫」や「妥協」が必要になる場面があるのも事実です。

快適に遊ぶための鍵は、「ゲームジャンルの見極め」と「有線接続」にあります。

RPGやカードゲームなら問題なく楽しめますが、FPSなどの対戦ゲームではLANケーブルでの接続が必須条件と言えるでしょう。

ご自身のプレイスタイルが、勝ちにこだわる「ガチ勢」なら光回線を、手軽に楽しみたい「エンジョイ勢」ならホームルーターを選ぶのが正解です。

ご自身の環境と目的に合わせて最適なネット回線を選び、快適なゲームライフをお過ごしください。

Q&A
「ホームルーター オンラインゲーム」に関する“よくある質問と回答”

マンションの無料Wi-Fiとホームルーター、ゲームするならどっち?
物件の設備状況によりますが、ホームルーターの方が安定するケースも多いです。

マンションの無料Wi-Fiは、1つの回線を住民全員でシェアする仕組みが多いため、夜間になると極端に速度が低下し、ゲームどころではなくなることがあります。

その点、ホームルーターは自分専用の回線を持てるため、他人の利用状況に左右されにくいメリットがあります。

それでも、いきなり契約せず、UQ WiMAXの「Try WiMAX(15日間無料お試し)」などを利用して、「今の無料Wi-Fi」と「ホームルーター」のどちらがラグが少ないか、実際に比較してみるのが最も確実です。

5Gエリア内なら絶対に快適になる?
必ずしもそうとは限りません。

「エリア内=快適」とは限らないのが5Gの難しいところです。

5Gの電波は直進性が強く障害物に弱いため、基地局の目の前なら爆速でも、自宅の壁を一枚隔てた屋内では電波が弱まり、通信が不安定になることがあります。

むしろ、電波が回り込みやすい4Gの方が安定してゲームができるケースも珍しくありません。

Apexでラグい原因が自分なのかサーバーなのか見分ける方法は?
ゲーム内の「パフォーマンス表示」を活用しましょう。

Apex Legendsの設定で「パフォーマンス表示」をオンにすると、画面右上にPing値やパケットロスの状況が表示されます。

もしPing値が常に高い、または変動しているなら「自分の回線」が原因の可能性が高いです。

一方で、Pingは正常なのに「パケットロス」の赤いマークが出ている場合は、ゲームサーバー側やプロバイダの経路に問題がある可能性があります。

丸山 和輝
記事の監修責任者
丸山 和輝

大学ではスポーツ科学部・競技スポーツ学科を専攻。陸上部に所属。長距離部門の選手として数々の大会に出場し、多くの功績を残すが、箱根駅伝メンバーにはあと1歩及ばず。その悔しさをバネに、個人の成果を重視する INEに新卒入社。電気・ガスなどの商材を扱う内勤営業で経験を積む。入社2年目の11月より通信回線を扱う部署のSmgrに昇格。現在に至る。