
高圧電力とは? 低圧・特別高圧との違いや料金・契約の注意点まで徹底解説!【2026年5月】
高圧電力への新規契約や乗り換えを検討している人のなかには、高圧電力という言葉の定義や低圧・特別高圧などとの違いがわからない人も多いはず。あるいは「自社施設の今の契約が高圧電力なのか低圧電力なのかがわからない」という人もいるでしょう。
この記事では、高圧電力の定義や低圧・特別高圧との違い、料金体系や契約する際の注意点についても徹底解説します。高圧電力を受電すべき施設なのかをチェックできる診断ツールも用意したので、ぜひ最後まで読んでみてください。
網廣義希
高圧電力領域におけるスペシャリスト。入社7年目、高圧電力販売の現場責任者として、年間200社以上の契約締結を支援。電力市場は専門性が高く「情報の非対称性」が生じやすい性質を持つため、不適切な誘導による誤認や、それに伴う行政勧告リスクを防ぐ徹底したコンプライアンス意識を保持。情報格差が存在することを前提に…高圧電力領域におけるスペシャリスト。入社7年目、高圧電力販売の現場責任者として、年間200社以上の契約締結を支援。電力市場は専門性が高く「情報の非対称性」が生じやすい性質を持つため、不適切な誘導による誤認や、それに伴う行政勧告リスクを防ぐ徹底したコンプライアンス意識を保持。情報格差が存在することを前提に、プロとして常に客観的かつ透明なデータを開示。莫大なコストが動く法人契約において、企業の不利益を未然に防ぐ健全なエネルギー調達を先導している。
髙橋夏帆
小売電気アドバイザー。ライフスタイルメディアの運営責任者を務めたのち、現在はでんきガイドの運営責任者に従事。「電気をもっと身近に・シンプルに」をモットーにでんきガイドのメディア運営・記事執筆に務めている。電力自由化をきっかけに電力会社を切り替えようとした際、電力会社によって…小売電気アドバイザー。ライフスタイルメディアの運営責任者を務めたのち、現在はでんきガイドの運営責任者に従事。「電気をもっと身近に・シンプルに」をモットーにでんきガイドのメディア運営・記事執筆に務めている。電力自由化をきっかけに電力会社を切り替えようとした際、電力会社によって料金体系やプランが大きく異なったうえ、どんな選び方をしたほうがよいのかつまづいた経験からでんきガイドを設立した。
更新履歴
2026年5月25日
高圧電力について独自のリサーチを行い、新たに記事を公開しました。
【結論】高圧電力とは受電の強さと料金の安さを兼ね備えた電気契約のこと

| 高圧電力に契約するメリット ・低圧電力よりも電気の単価が安く、電気代を抑えられる 高圧電力に契約するデメリット ・高圧電力を受電する設備を整えるための初期費用や維持費用がかかる |
高圧電力とは、受電の強さと料金の安さを兼ね備えた電気契約のこと。直流で750V超~7,000V以下、交流で600V超~7,000V以下の電圧のものと定義されており、日本の高圧用電線からは交流で約6,600Vの電圧の電気が流れています。
電圧を高くして電気を勢いよく届けることで、電線内で電気が熱エネルギーに変換されにくく、送電効率が高くなる仕組みです。そのため高圧電力は、送電時のロスが多い低圧よりも電気の単価が安く設定されており、電気代を抑えることができます。
一方でデメリットは、電気代とは別に初期費用や維持費用がかかることです。高圧電力を契約する場合、高圧電力を施設内で利用するために変圧作業を行う必要があります。この変圧作業にはキュービクルという設備を施設内に設置する必要があり、これらの設置費用や本体価格、運用後のメンテナンス費用など、電気代以外の出費は免れないことは留意しておきましょう。
低圧電力と特別高圧電力との違いは?
電圧の種類は、低圧電力・高圧電力・特別高圧電力の3種類で、それぞれ電圧の強さで分別されています。電圧の種類別の電圧の強さ・契約電力の範囲・おもな対象施設の違いは以下のとおりです。
| 種類 | 電圧の強さ | 契約電力の範囲 | おもな施設 |
|---|---|---|---|
| 低圧 | 直流:750V以下 交流:600V以下 | 50kW未満 | 一般家庭、商店、小規模ビル、診療所など |
| 高圧 | 直流:750V 超 〜 7,000V 以下 交流:600V 超 〜 7,000V 以下 | 50kW~ 2,000kW未満 | コンビニ、スーパー、中規模工場、単独店舗の飲食店など |
| 特別高圧 | 直流・交流ともに7,000V超 | 2,000kW以上 | 大規模工場、鉄道、商業施設、大学病院など |
自社施設で電気を契約しているけれど、どの電圧で契約しているのかわからない人は、以下の画像を参考に電力会社から届く請求書の「契約電力」欄を確認してみましょう。契約電力が50kW〜2,000kW未満であれば、すでに高圧電力に契約しています。もし契約電力が50kW未満でも、供給電圧が6kVと記載されていたら高圧電力に契約しているので、細かくチェックしてくださいね。


網廣義希
自社施設の契約が低圧電力か高圧電力かを一目で見分けたい場合は、敷地内の駐車場の隅や屋上などに「高圧危険」「変電設備」と書かれた金属製の大きな箱が設置されているかを確認するとよいでしょう。
この箱はキュービクルと呼ばれ、高圧電力を受電する施設には設置必須の変圧装置です。なお、キュービクルは定期的な点検も必要なので、施設に毎月点検作業に来てくれる電気工事業者がいるかどうかも判断材料になり得ます。
自社施設は高圧の受電対象? 診断してみよう
あなたの施設は
高圧電力の受電対象?
施設の広さはコンビニ(約30坪/100㎡)より大きい、または複数フロアありますか?
24時間営業、または深夜・早朝まで稼働する施設ですか?
※運営前の施設の場合は該当する可能性があるかどうかでお答えください。さらなる増設や業務用家電の追加を見込んでいますか?
敷地内に高圧用設備の設置スペース(物置き1つ分程度)を確保できますか?
高圧電力の 対象施設です!
高圧電力を契約することで、初期費用や維持費用を含めても電気代を大幅に削減できる可能性があります。専門家に相談して具体的な金額を比較してみましょう。
高圧電力の受電が 可能な施設です!
高圧電力を契約することで、初期費用や維持費用を含めても電気代を大幅に削減できる可能性があります。専門家に相談して具体的な金額を比較してみましょう。
高圧電力の受電には 不向きな施設です
現時点では高圧電力の受電が難しい可能性が高いです。ただし、今後の経営方針の変更や増設などによっては状況が変わることも。気になる人は専門家に相談してみましょう。
低圧・高圧・特別高圧の電圧や施設規模の違いがわかっても、自社施設が高圧電力に向いているのか、まだ判断しきれない人もいますよね。上記のツールで、4つの質問に答えるだけで自社施設が高圧電力の受電対象なのか診断できます。高圧電力の導入にむけて具体的な準備を進める前に施設の状況を確認してみましょう。
高圧電力の料金体系を確認しよう

高圧の電力プランのおもな料金体系は以下のとおりです。
基本料金+電力量料金+燃料費調整額+市場価格調整額+再エネ賦課金(+消費税)
高圧電力の契約では以下の料金項目に注目しましょう。
- 基本料金
電気使用量に関わらず毎月固定で発生する料金項目のこと。高圧電力プランの基本料金は、過去1年間のなかで最も電力を使った30分間を基準として契約電力が設定される仕組みになっています。そのため、短時間で施設内の家電をフル稼働させるなどして大量に電力を使用したタイミングが1度でもあると、翌年の基本料金が割高になってしまう可能性があります。
- 燃料費調整額
発電時に使われる燃料の輸入にかかるコストと、各電力会社が事前に設定した基準燃料価格との差を調整するための料金項目のこと。計算式は燃料費調整単価(円/kWh)×電気使用量(kWh)です。
地域電力会社の低圧用電力プランでは、実際の燃料価格が基準燃料価格よりも高騰して燃料費調整額が増額になった場合、増額できる金額に上限が設けられていますが、高圧電力プランには上限がありません。そのため、燃料価格が急騰した際には燃料費調整額が大きく増額する可能性がある点を認識しておきましょう。
- 市場価格調整額
電力市場で取引される電気の価格に連動した料金項目のことで、市場価格調整単価(円/kWh) × 使用量(kWh)で計算されます。国内の電力需給の状況は天候や世界情勢などのさまざまな要因で変化しやすいため、電力市場価格が高騰した場合、高圧のように電気の使用量が多い施設は電気代が急激に高くなるリスクがあります
高圧電力に契約する前の注意点を押さえよう

高圧電力に契約する際には、大きくわけて3つの注意点があります。1つめは、キュービクルという高圧電力を施設に届けるために変圧する設備を導入する初期費用がかかること。2つめはキュービクルの定期点検や整備などの維持費が毎月の電気代とは別で発生すること。3つめに、電気主任技術者という国家資格を持つ人を整備担当者として選任する必要があることです。
キュービクルの本体価格と工事費用の合計額の目安は以下を確認してください。
| キュービクルの大きさ | 本体価格(新品)+工事費用 | 本体価格(中古)+工事費用 |
| 小規模(50~150kVA) | 約300~500万円 | 約200~350万円 |
| 中規模(150~500kVA) | 約600~1,500万円 | 約450~1,000万円 |
| 大規模(500kVA以上) | 約1,500万円~4,000万円以上 | 約1,500~3,000万円 |
高圧電力を受電する施設の管理者は、事業用電気工作物であるキュービクルを経済産業省令で定める技術基準に基づいて維持することが法律で義務付けられており、電気主任技術者という専門の国家資格を持つ人を整備担当者として選任しなければいけません。(参考:電気事業法第三十九条)また、キュービクルのメンテナンスには、この電気主任技術者による定期点検が必要で、点検時に不備が見つかった場合は部品の交換費用もかかります。
キュービクルのサイズや依頼する点検業者によってことなりますが、メンテナンス費用の目安は以下の通りです。
| 点検の種類 | おもな内容 | 料金の目安 |
| 月次点検 (施設の停電なし) | ・運転状態の外観点検 ・異音、異臭、過熱の確認 ・漏電測定など | 約1.5~3万円 |
| 年次点検 (全館停電) | ・精密測定 ・設備の清掃など | 約5~15万円 |
なお、キュービクルについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてください。

網廣義希
高圧電力の受電は、いわば施設内に小さな変電所を保有しているのと同じこと。キュービクルの故障や漏電などが起きた場合、その施設だけでなく周囲の建物も停電するなど波及事故につながる可能性があります。
トラブルが起きるリスクを下げ、または起きた時の被害を最小限に抑えるためにも、定期的にメンテナンスを行いましょう。
高圧電力を利用する際の節約方法は?
結論、高圧電力の利用で電気代を節約するポイントは、家電の一斉使用を避けることです。
前述したとおり、高圧電力プランの基本料金は、過去1年間のなかで最も電力を使った30分間の電力量で翌年の契約電力のランクが決まります。そのため1日のたった30分でも、大量の電力を消費してしまうと、翌年の契約電力のランクが上がり、基本料金が高額になってしまう可能性があります。
エアコンなどの空調設備は一斉に付けるのではなく、1階と2階で付ける時間帯をずらすなどして集中的に稼働させないようにしましょう。また、工場などで電力消費の激しい大型の機械を使用する場合は、同時に複数使用すると短時間で電気使用量が増えてしまうため、製造工程を工夫して極力一斉使用を避けるようにするのがおすすめです。
まとめ
高圧電力とは、送電効率の高さと単価の安さが特徴の電気のこと。電気の圧力を高めて一気に送電することで、熱エネルギーに変わってしまうロスが少なくなるため、低圧と比べて電気の単価が安くなります。
電気使用量が多い施設などでの電気代を大幅に削減できるというメリットがある反面、高圧電力の受電にはキュービクルと呼ばれる変圧設備を設置する必要があり、初期費用や維持費用がかかるというデメリットも。また高圧電力は取り扱いに注意が必要な電気のため、それを受電する施設の管理者は、適切な安全管理を行う義務が発生することも留意しておきましょう。
網廣義希
「直流」「交流」というのは電気を流れ方のを表しており、直流とは電気の流れる方向と強さが常に一定の方式、交流とは電気の流れる向きと強さが短い周期で交互に入れ替わる方式のことです。
具体的には、建物に届く電源は効率よく送電できる交流方式、精密な計算を行う操作パネルや制御回路は、安定して動作する直流方式で動いています。