
高圧電力の電気料金はどう決まる? 料金体系・運用のポイントを徹底解説!【2026年6月】
オフィスビルやスーパーなど、高圧電力を受電する施設を運用している需要家さんのなかには、毎月の電気代の高さに頭を抱えている人も多いはず。とはいえ、高圧電力の電気料金の仕組みがわからないことには、電気代を節約するためのアクションにも踏み出せませんよね。
そこでこの記事では、高圧電力の電気料金の仕組みや各料金項目の計算方法、節約のための運用ポイントなどを徹底解説します。一部地域電力会社の高圧電力プランの詳細も紹介するので、ぜひ最後までチェックしてください。
網廣義希
高圧電力領域におけるスペシャリスト。入社7年目、高圧電力販売の現場責任者として、年間200社以上の契約締結を支援。電力市場は専門性が高く「情報の非対称性」が生じやすい性質を持つため、不適切な誘導による誤認や、それに伴う行政勧告リスクを防ぐ徹底したコンプライアンス意識を保持。情報格差が存在することを前提に…高圧電力領域におけるスペシャリスト。入社7年目、高圧電力販売の現場責任者として、年間200社以上の契約締結を支援。電力市場は専門性が高く「情報の非対称性」が生じやすい性質を持つため、不適切な誘導による誤認や、それに伴う行政勧告リスクを防ぐ徹底したコンプライアンス意識を保持。情報格差が存在することを前提に、プロとして常に客観的かつ透明なデータを開示。莫大なコストが動く法人契約において、企業の不利益を未然に防ぐ健全なエネルギー調達を先導している。
髙橋夏帆
小売電気アドバイザー。ライフスタイルメディアの運営責任者を務めたのち、現在はでんきガイドの運営責任者に従事。「電気をもっと身近に・シンプルに」をモットーにでんきガイドのメディア運営・記事執筆に務めている。電力自由化をきっかけに電力会社を切り替えようとした際、電力会社によって…小売電気アドバイザー。ライフスタイルメディアの運営責任者を務めたのち、現在はでんきガイドの運営責任者に従事。「電気をもっと身近に・シンプルに」をモットーにでんきガイドのメディア運営・記事執筆に務めている。電力自由化をきっかけに電力会社を切り替えようとした際、電力会社によって料金体系やプランが大きく異なったうえ、どんな選び方をしたほうがよいのかつまづいた経験からでんきガイドを設立した。
更新履歴
2026年6月8日
高圧電力の電気料金について独自のリサーチを行い、新たに記事を公開しました。
【結論】高圧電力の電気料金は契約電力の大きさや運用の仕方で決まる!
高圧電力の電気料金の大まかな構造は、一般家庭向けの低圧電力と同じ。しかし、各料金項目の具体的な仕組みは一般家庭向けの料金プランとは異なります。
高圧電力の電気料金は、使った電気の総量だけでなく、一度に使う電力の強さによっても金額が変わるため、電気料金の仕組みを理解して適切なプランに契約することが大切。そのうえで、施設内の設備の使い方を工夫することも高圧電力の電気料金を抑えるためには重要なポイントです。
以下の章では、高圧電力の電気料金項目について詳しく説明するので、ぜひ目を通してください。

髙橋夏帆
高圧電力の基本料金について理解するためには、契約電力の仕組みを知ることが必要不可欠です。現時点でまだ契約電力についてよくわからないという人は、まずこちらの記事からチェックしてみてくださいね。
高圧電力の各料金項目の特徴をチェック

高圧電力の料金プランは電力会社によって異なりますが、おもな料金体系は以下のとおりです。
基本料金+電力量料金+燃料費調整額+市場価格調整額+再エネ賦課金(+消費税)
ここからは、それぞれの料金項目の仕組みを詳しく解説していくため、どのように電気料金が決まっているのかわからない人は最後までチェックしてくださいね。

網廣義希
なお、高圧電力の料金プランは電力会社によってさまざま。上記の料金体系のプランのほか、市場価格調整額のない定額プランや、燃料費調整額がなく市場価格調整額のみの料金変動が起こりやすいプランも存在(詳細)します。
とはいえ、どの電力会社の料金項目にも、基本料金・電力量料金・燃料費調整額・市場価格調整額・再エネ賦課金があるので、まずはそれぞれの料金項目の詳細について理解しましょう。
基本料金

施設内の電気使用量にかかわらず毎月の電気料金で請求される固定費のことで、契約電力(kW)×単価×力率割引という式で計算されます。
基本料金の金額に大きく関わる契約電力の設定方法には、実量制と協議制の2つがあります。それぞれの仕組みと対象となる施設については以下の表を確認してください。
| 契約電力の決め方 | 対象施設 | 詳細 |
|---|---|---|
| 実量制 | 施設内の最大消費電力が500kW未満の小~中規模施設 施設例: コンビニ、小店舗、事務所 | 施設の直近1年間の運用データから、最も電力を消費した30分間の消費電力を契約電力として自動更新する。 |
| 協議制 | 施設内の最大消費電力が500kW以上の中~大規模施設 施設例: スーパー、商業施設、病院 | 施設の運用計画書を提出し、電力会社と直接協議して契約電力を設定する。 |
契約電力の仕組みや電気料金とのつながりについてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事もチェックしてみましょう。
なお、基本料金の計算式にある力率割引とは、供給された電力のうち、その施設で実際に使用できている電力の割合に応じて増額、または減額される仕組みのこと。各電力会社が定める力率のボーダーラインは85%で、これ以上の力率であれば割引になり、85%未満の力率の場合は割増となります。

網廣義希
力率が85%以上の施設は、供給される電気を無駄なく使用できている証拠です。高圧電力の受電施設は一般家庭よりも大量の電気を必要とするからこそ、電力会社側は供給した電気を無駄なく使ってくれる力率の良い施設に対しては電気料金を割引してくれます。
電力量料金

施設内で使用した電力量に応じて請求される料金項目で、電力量単価×使用量(kWh)で計算されます。
一般家庭が利用する低圧電力は、電力会社側で家庭内で使える電圧まで下げてから供給されるのに対し、高圧電力では電圧を下げる作業を自分たちの施設で行います。そのため、電力会社から請求される電力量料金の単価は低圧電力よりも十数円ほど安く設定されています。
ただし季節や時間帯によって単価が異なる点には注意が必要。一般的にエアコンの稼働量が増える夏場と、電気の需要が高くなる日中の単価は高くなるため、いつも通りの運用でも電気料金が高くなることは留意しておきましょう。
燃料費調整額

発電に必要な原油・石炭・天然ガスの3か月間の調達コストが反映された料金項目で、計算式は燃料費調整単価×使用量です。各電力会社が事前に設定している基準燃料価格を、実際の燃料価格が上回った場合は増額、下回った場合は減額として電気料金に反映されます。
一般家庭向けの低圧電力プランでは、燃料費調整額が増額となった場合に請求できる金額に上限が設けられているプランもありますが、高圧電力ではどの電力会社の料金プランでも燃料費調整額に上限が設けられていません。もし燃料価格が急騰した場合、燃料費調整額も青天井に増額される可能性がある点は留意しておきましょう。
市場価格調整額

電力市場の価格の変動に応じて毎月調整される料金項目で、計算式は市場価格調整単価×使用量です。日本で発電された電気の約4割はJEPXと呼ばれる電力市場に集められ、電力会社が仕入れることで需要家のもとへ供給されます。
電力会社が予め決めておいた基準価格に対し、実際の電力市場価格の方が高かった場合は増額、電力市場価格の方が安かった場合は減額として電気料金に反映されます。電力市場価格は季節や天候、国内の需要量などさまざまな要因で変化するため、市場価格調整額は毎月安定しない料金項目といえます。

網廣義希
地域電力会社によっては、市場価格調整額におけるルールが改定され、増額と減額で基準価格が2つ設けられているところもあります。
具体的には、1つめの基準価格が15円、2つめの基準価格が10円だったと仮定すると、実際の市場価格が15円未満であっても2つめの基準価格である10円を下回っていなければ減額にはなりません。基準価格が1つだけのときよりも市場価格調整額が減額になりにくい構造の料金項目がある点には留意しておきましょう。
再エネ賦課金

正式には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と呼ばれ、再エネ賦課金単価×使用量で計算されます。
再エネ賦課金は、温室効果ガスを出さない水力や風力などの再生可能エネルギーによる発電を促す目的で国から徴収されます。なお、2026年度の再エネ賦課金単価は4.18円/kWhです。

網廣義希
これらのほか、「容量拠出金」という料金項目も覚えておきましょう。
容量拠出金とは、日本全体の将来的な電力の供給力を維持・確保するために、すべての電気利用者が広く負担している費用のこと。高圧電力だけでなく、一般家庭向けの低圧電力でも負担する費用です。
多くの電力会社では、容量拠出金に伴う負担をおもに以下のいずれかの方法で電気料金に反映させています。
・独立した項目として明示
「容量拠出金相当額」などの項目名で、月々の使用量や契約電力に応じて計算・請求されるパターン。
・基本料金・電力量料金への内包
明細に項目としては表れず、基本料金や従量料金の単価そのものに最初から組み込まれているパターン。
電力会社や契約プランによって開示方法が異なるため、明細に直接「容量拠出金」と書かれていなくても、電気代には影響が出ていることを理解しておきましょう。
高圧電力の電気料金を抑えるポイント

高圧電力を受電する施設で電気料金を節約するポイントは2つ。1つめは施設内の電子機器の運用方法を見直して、契約電力や電気使用量を抑えること。2つめは電力会社や契約内容を見直し、電気の単価を抑えることです。
先でも解説した通り、基本料金は契約電力が大きくなるほど高額になるため、電気料金の削減には契約電力を抑えることがポイントです。今よりも契約電力を抑えるための運用のヒントは以下のとおり。
| 契約電力を抑える方法 | 運用の具体例 |
|---|---|
| ピークカット 電力消費がとくに激しい時間帯の電子機器の使用を控えて最大消費電力を抑えること。 | ・使わない機械や照明の電源をこまめに落とす ・エアコンの設定温度に気をつける ・キュービクル内にデマンド監視システムを設置して、電力消費を自動制御する ・ソーラーパネルを設置して、施設の営業時間の消費電力の一部を賄う |
| ピークシフト 電力消費がとくに激しい時間帯の電子機器の稼働を別の時間帯にずらして、最大消費電力を抑えること。 | ・開店時のエアコンの稼働時間を1階と2階で30分ずつずらす ・工場などの製造ラインを見直して、機械の稼働タイミングをずらす ・蓄電池を設置して、単価の安い夜に電力会社から供給してもらった電気を日中に使用する |
契約電力を抑える詳しい方法はこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
施設の運用で契約電力や電気使用量をコントロールする以外に、より単価の安い高圧電力プランに切り替えることも有効です。複数の電力会社で見積もりを取り、今より単価を抑えられるか確認してみましょう。

網廣義希
高圧電力の電気料金を節約したいなら、電力会社の見直しもひとつの手。
電力会社によって、調達コストが異なったり、特定エリア・施設向けの特別プランがあったりするため、企業の業種や使用量、使用時間帯によって最安の電力会社は異なります。
なかには地域電力会社から新電力会社のプランに切り替えることで最大30%ほど電気代が安くなるケースもありました。
自社施設の電気代も安くできるのでは?と気になった人は、以下の料金見積もりボタンから気軽に相談してくださいね。
高圧電力のQ&A
ここからは、高圧電力の電気料金にまつわるよくある質問に回答します。ぜひ参考にしてください。
【Q&A】高圧電力と低圧電力ではどちらの電気料金が安いですか?
結論、高圧電力のほうが低圧電力よりも電気の単価が安く設定されているため、電気料金を抑えられる可能性が高いです。
ただし高圧電力の場合、受電施設にキュービクルと呼ばれる設備を設置し、施設で使える電圧に下げる作業を自社施設内で行う必要があるため、キュービクルの本体価格や設置工事費、定期点検費用などが電気料金とは別でかかることになります。
キュービクルの仕組みや初期費用・維持費用などについてもっと知りたい人は、こちらの記事もチェックしてみてくださいね。
【Q&A】東京電力の高圧電力プランの料金は?
東京電力の高圧電力プランには「ベーシックプラン」「市場調整ゼロプラン」「市場価格連動プラン」の3つがあります。ただ、ベーシックプランと市場調整ゼロプランの2つには新規の申し込み枠に限りがあるため注意が必要です。
- ベーシックプラン
ベーシックプランの料金体系は以下のとおりです。
基本料金+電力量料金+燃料費調整額+市場価格調整額+再エネ賦課金(+消費税)
ベーシックプランの関東エリアの単価表は以下のとおり。契約電力が500kWで、力率85%の施設の場合の基本料金は1,265,000円です。
| 料金項目 | 単価 |
|---|---|
| 基本料金 | 2,530円/kW |
| 電力量料金 | 17.43円/kWh |
- 市場調整ゼロプラン
市場調整ゼロプランの料金体系は以下のとおりです。
基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金(+消費税)
市場調整ゼロプランの関東エリアの単価表は以下のとおり。契約電力が500kWで、力率85%の施設の場合の基本料金は1,360,000円になる計算です。
| 料金項目 | 単価 |
|---|---|
| 基本料金 | 2,720円/kW |
| 電力量料金 | 17.21円/kWh |
- 市場価格連動プラン
市場価格連動プランの料金体系は以下のとおりです。
基本料金+電力量料金+市場価格調整額+再エネ賦課金(+消費税)
市場調整ゼロプランの関東エリアの単価表は以下表を確認してください。契約電力が500kWで、力率85%の施設の場合の基本料金は750,000円です。
| 料金項目 | 単価 |
|---|---|
| 基本料金 | 1,500円/kW |
| 電力量料金(朝時間・昼時間・晩時間) | 15.18円/kWh |
| 電力量料金(夜時間) | 15円/kWh |
【Q&A】関西電力の高圧電力プランの料金は?
関西電力の高圧電力プランは、スーパーや事務所ビル、商業施設向けの「高圧電力AS/AL」と、工場向けの「高圧電力BS/BL」に分かれており、全てのプランに共通する料金体系は以下のとおりです。
基本料金+電力量料金+燃料費調整額+市場価格調整額+再エネ賦課金(+消費税)
各プランの単価表は以下の表を確認してください。
- 高圧電力AS・高圧電力AL(スーパー・事務所ビル・商業施設向け)
ASでもALのどちらのプランでも電気の単価は変わりませんが、高圧電力ASの場合は契約電力が500kW未満、高圧電力ALの場合は契約電力が500kW以上の施設が対象のプランです。
| 料金項目 | 単価 |
|---|---|
| 基本料金 | 1,911.8円/kW |
| 電力量料金(夏季:7~9月) | 18.07円/kWh |
| 電力量料金(その他の季節) | 17円/kWh |
- 高圧電力BS・高圧電力BL(工場向け)
こちらのプランもBS・BLの違いは契約電力のみで、単価は同じです。契約電力が500kW未満の施設なら高圧電力BSの、契約電力が500kW以上の施設なら高圧電力BLが対象になります。
| 料金項目 | 単価 |
|---|---|
| 基本料金 | 2,043.8円/kW |
| 電力量料金(夏季:7~9月) | 16.68円/kWh |
| 電力量料金(その他の季節) | 15.73円/kWh |
【Q&A】高圧電力の平均的な電気料金はどのくらい?
高圧電力を受電する施設の平均的な電気料金は以下のとおり。ただし、高圧電力プランの電気料金は、各施設の規模はもちろん、施設内で使用する電子機器の数や電気の使い方によって大きく異なります。自社施設の電気料金をより詳しく知りたい場合は、契約電力を算出したのち各電力会社に見積もりを依頼しましょう。
| 施設規模 | 契約電力の目安 | 月間電気使用量の目安 | 月間電気料金の目安 |
|---|---|---|---|
| 小~中規模施設 小店舗、事務所ビル、 コンビニなど | 50~100kW | 約10,000~ 20,000kWh | 約35~70万円 |
| 中規模施設 スーパー、ホテル、 中規模工場 | 100~500kW | 約30,000~ 150,000kWh | 約100~450万円 |
| 大規模施設 大型工場、ショッピングモール、大学病院 | 500kW以上~ | 約150,000kWh~ | 約450~数千万円 |
【Q&A】高圧電力の電気料金が高くなったのはなぜ?
主な理由は、電気料金のなかでも以下の3つの変動費用が値上がりしていることにあります。
- 燃料費調整額
燃料費調整額の価格変動に関係のある電気を作るための石炭やガスの輸入価格は、世界情勢や円安の影響で高騰します。昨今ではイラン情勢の激化などが原因で燃料調達費が値上がりしているため、燃料費調整額も高騰している可能性が高いでしょう。 - 市場価格調整額
最近、東京電力や北海道電力などの地域電力会社が市場価格調整額のルールを変更しました。1つの基準価格をもとに増減を判定する仕組みから、増額時と減額時それぞれで基準価格を設ける仕組みになったことで、市場価格調整額が増額されやすく減額されにくい仕様に変化。その結果、市場価格調整額が値上がりし、電気料金を圧迫する可能性も高まりました。 - 再エネ賦課金
2012年時点の再エネ賦課金単価は0.22円/kWhでしたが、2025年度は3.98円/kWh、2026年度現在は4.18円/kWhと年々値上がりしており、電気料金のなかでも負担が大きいといえます。
ほかにも、2026年2~4月に国が実施した「電気・ガス料金支援」が終了したことも、電気料金が高くなったと感じる原因でしょう。
まとめ
一般的な高圧電力の電気料金は、基本料金・電力量料金・燃料費調整額・市場価格調整額・再エネ賦課金の5つの料金項目で決まります。この構造自体は低圧電力の一般家庭向けプランと同じですが、基本料金の仕組みに違いがあります。
この基本料金を決めるためには、その施設が最大でどのくらいの電力を消費するのかの指標となる「契約電力」を設定することが必要で、この契約電力を決める方法も施設規模や運用状況によって異なります。
自社施設が受電している高圧電力の電気代を節約するには、これらの仕組みや料金体系を理解したうえで、運用方針や契約内容の見直しを行いましょう。
網廣義希
高圧電力の電気料金のなかでも、注目すべき料金項目は基本料金。これは契約電力をもとにして算出されます。契約電力とは、その施設が同時に消費できる電力の上限を表すもの。
いくつもの設備を同時に稼働させてたくさんの電力を消費するような施設では、契約電力を高めに設定する必要があるため、基本料金が高くなります。